最後のお昼ご飯

あの人、来ないなあ〜って思ってたんだ、こないだから。
好きな人っていっぱいいるけど、そう、あの人もなんかしらんけど好きな人。某有名企業の人で、私と同年代ぐらいか、もしかしたら年上か。部下もいっぱいいて尊敬されているようだけども、でもなんだかいつも小学生の男の子が喋っているみたいで、そういうところが好きでした。

今日、久々にいらっしゃって、いつものようにタイカレーで、その人はパクチーが好きなんだけど、『ああ、今度こそTAKEDAに言って、この人のパクチーだけ多めに入れてもらおう』と思いながら出して、そのあとゆず茶を出した時に、何やら言いたそうな視線をわずかに感じたのだけども、それがなんとも微妙な感じだったので、あえて気づかぬ振りをしてしまった。

お会計の時、その人は、
「今日で名古屋は最後なんですよ。東京に戻ります」
とおっしゃった。
「ええっ?!」
と言って、私はじわじわと動揺する。ああ、久しぶりにお会いできて、なんか嬉しかったのにな。
今日は金曜日で、そうか、この人にとってはこの地では最後の仕事で
、最後のお昼ごはん。それをうちの店にしてくれたってことは、本当に嬉しい。そして、その人はほんの時折うちにお昼ごはんを食べにきてくれるだけの関係だけど、こうやってお別れを告げてくれたことも、とても嬉しい。
そんで、お別れすることは、とても寂しいや。

春ですね。
新しい場所に行くために、今までの場所からさようならをする人。
思いもよらぬところで、寂しがっている人がいますよ、きっと。