車中から見ただけの、赤い髪の女の子

ある日の夜、うちの店に一人で来てくれた女の子を一目見て、あれ?と思った。
オーダーを伺ってから、「あの、ところで今日の朝、笹島のあたりを歩いてませんでしたか?」と聞くと、そうだとおっしゃる。

朝はTAKEDAの運転で、私は助手席にいる。窓の外を流れるいつもとそんなに変わらない風景を眺め人を眺める。眺めてはその対象も私の記憶も通り過ぎていく。
名古屋駅近くの笹島交差点。レジャックのあるあたり。道路は広いし歩道も広い。朝9時半ごろ。その時間帯は近くの美容学校に通うきれいな女の子たちが塊になってぞろぞろと歩いている。いろんな職業のいろんな人もいっぱい歩いている。
その中で、赤い髪をしたショートカットの女の子が一人歩いていて、私はその女の子を数秒目にした。可愛いな。きれいな髪の色だな。そんなことを思ってた。
そんな車の窓から一瞬だけ見た女の子が、今日、うちに来たんだよ。そのことも不思議だし、その一瞬を覚えてた私も不思議。(こんなに人の顔をおぼえるのが苦手なのに)

その数日後。
関東からプロレス観戦のために3人の男性が来店。何かのブログでうちの店を知ったとおっしゃる。何を見ていらっしゃったのですかと聞くと、なんとその赤い髪の女の子のブログだったらしい。