本と私と人を巡る結ぼれ

ちょっと暇だった夜。
友達のSさんから借りてる「ユリイカ増刊 矢川澄子特集 不滅の少女」と「シモーヌ・ヴェーユ」を片手にがらんとした店に来てくれたWさんと楽しくお喋り。Wさんからは、人の心を強くしてくれるような、本当に明るくて素敵な笑顔をもらって、それは私の翌日まで続く力になる。
で、「不滅の少女」の人生について考えてたら、少女を追及し表現し続けるAさんが少女について日記を書いていた。

忙しくなりかけた土曜の昼。
スーツ姿の若い男性が来て、オーダーのあと鞄から文庫本を取り出して、私はなんとなーく何を読んでるのかなあと思いつつも覗くようなはしたない真似はしないのだが、その彼は本を机に置くのではなく、食べながらも片手に開いた文庫を持ってて、そうするとカウンターにいるこちらからはちょうどその表紙が見えるわけで、きれいな濃いピンク色のその本のタイトルを見たら、
「道徳は復讐である ニーチェルサンチマンの哲学/永井均
であり、思わずタイカレーを食べてるその男性に、
「わあー、私もその本、あさってのお休みの日に買いに行こうと思ってるんですよ」
と唐突に話しかけた。
永井均さんだから買ったんですか、それとも巻末の永井さんと対談してる川上未映子さんで買ったんですか、と聞くと、特にそのどちらでもなく、しいていえばニーチェに関して読みたかったとのことで、けれども未映子さんの「ヘヴン」は読んだそうで、とても面白かったとその彼は言う。
「スーツ姿だからなんとなくビジネス書を読んでるのかと思ッたら、びっくりしちゃいました」と言うと、彼はなんと、今から大阪で結婚式のために出かけるそうなのだ。
大阪で?
今日、未映子さんは、大阪の大学で講演なんですけど。
結婚?
結婚といえば、未映子さんのアルバムタイトル「頭の中の世界と結婚」ではないか。
ななななななななんだ?
もしや罠か? なんのための罠かはわからないが、なんか知らん用意された罠なのか?