This is It

11/16(月)マイケル・ジャクソンの「This is It」を観て来ました。
あ、私は全然マイケル・ジャクソンのファンではないです。
CDを買って聴きたいと思ったこともありません。
でも先日、古くからの友人が来て、マイケル・ジャクソンのMTVを見るために私の家に泊まり、それで一緒にベストヒットUSAを見たという話をして、私はそのことを全然記憶してなくて、とても意外な感じがしました。きっと、マイケル・ジャクソンは、あの当時の私たちの前に、とても当たり前のものとしてあったのでしょう。

マイケルが亡くなった時、私の友人が、「マイケルのスピーチ」というタイトルで、以下のサイトの引用をした日記をアップしました。それを読み、私は少し混乱したのです。
友人が引用したサイトはこちら。
http://mjlatest.main.jp/text/interview/racism-speechhtml.htm
私にはわかりません。マイケルの主張が正しいのか、今までマスコミが報道してきたことが正しいのか。
ただ、この映画の公開が決まったときには観にいこうとは思ってもいなかったのですが、やはり行ってみよう、と思ったのです。

うん、映画を観ててね、例えばマイケルの主張、そしてマスコミの報道、そのどちらが正しかったのかなんてことは、やはり私にはわからないことでした。
そして、この映画から感じたことだって、本物かどうかはわからないよ。何故ならこの映画だって、作り手のある種の意思で編集されているわけだから。本当に、何を信じていいのかなんてわかんない。
でも、私が思ったのは、きっとマイケルに憧れてオーディションを受け、それに受かってあのリハの現場にいるダンサーたちの歓喜や野望や責任感や愛情は、きっと本物に違いないだろう、と。コーラスの人たちも。ミュージシャンも。様々な照明スタッフ、音響スタッフ、映像スタッフ。そしてプロデューサーも。そして・・・そしてマイケル・ジャクソン自身も・・・。

よく、コンサートで実は口パク、なんて話を聞くけど、マイケルはリハでもこんだけ歌ってるんだ・・・。踊りも歌も本番に向けてコントロールし、そしてセーブしてるといいつつ、こんだけやってるんだ・・・。まず、そのことに驚きました。

このリハの時間って、何より楽しい時間かもしれない。
作り手だけの時間。
まだ作っている最中だけれども、この充実感、幸せな結束感、もうなんて幸せそうなんだ、みんな。
けどホントは、それらはすべて「本番」を想定したもので、そこにある予定の歓喜と拍手、届けるためのメッセージ、それらを、ずっとずっとその届ける相手と届け方を考えつつ、現実はその場を失ってしまったのだ、永遠に。残された人たちのこの喪失感を思うと、もう本当に本当に胸が潰れそうになるよ・・・。

マイケルの歌ってる映像がこうして観られて本当に良かった。映画館で聴く音は体に響いてきて本当にステキだったし、気持ちよかった。一曲ごとに拍手したい気分だった。踊りもね、音という多方向に向かって空間を走る波を、表現したり制御したり、そんな風に目に見える形にしてこちらに届けてくれるみたいで、マイケルの踊りを観ることで更に一層音楽が楽しくなってきた! そして何故か、一曲ごとに目が潤んできたんだ。1つは、彼らが信じていたはずの「本番の日」が訪れなかったということに。もう1つは、そういう未来とは関係なく、マイケル・ジャクソンがとても真摯な姿勢でこちらに届けようとした表現に、素直に心打たれて。

せっかくなので、是非、映画館の大きなスクリーンといい音でこの映画を観てきてください。心からお勧めします。

あ、ちなみに、私はミッドランドシネマで観てきたのですが、その裏手のビルで「人体の不思議展」が始まりました。
私は、ここで見た体の筋肉や神経が、映画の中のマイケル・ジャクソンの映像に重なってしまいました。