台湾の旅

さようなら、と声にすると涙が出そうになるね、さようならの五文字には一体どんな成分が含まれているのだろう。離陸して、飛行機の下で小さくなっていく台湾の街並みを見ながら「さようなら」と呟いた途端に胸がきゅっとして、そんなことを思いました。

尖閣諸島の問題がニュースを賑わせている今、台湾に行くことさえ「大丈夫?」と言われることもありました。そんな時期だからこそ行けて良かったな。初めての台湾。「中華民国」というこの小さくて複雑な国。ごはんを食べることで、買い物をすることで、街を歩くことで、いろんなことを思う旅になった。

例えば、ホテル近くのマッサージ屋さんに入る。他にお客さんがいなかったこともあるけど、わざわざかかっている音楽を日本の音楽に変え(日本の演歌のインストゥルメンタル)、テレビを日本のドラマチャンネルに変える。私たち日本人へのサービスなのです。そう言うとしたり顔で「日本人は金になるか
らな」と言う人がいるかもしれません。けれど近年の日本人なんて大した金を落とす客ではなくなっているのではないかしら。そういうことではなく、こういうちょっとしたことって、その国民のメンタリティが出るのではないでしょうか。
例えば韓国に行くと食事の前にキムチがついてきたり、おかずだけ頼んでもごはんが付くとか、化粧品のサンプルとか、サービスははっきりした「物」という形で提供されます。
ベトナムやタイでは「サービス」にはお金を払うものであり、それ以上の何かを受け取ることはありませんでした。多分中国でもとても親しい間柄になってはじめて、親密さの証としてサービスする、という考え方だと思います。または合理性を追求して無駄なサービスは行わないという考え方の国もあると思います。
台湾ではお客さんに対するほんのちょっとのプラスアルファの「無償のサービス」があって、それは日本の考え方と共通しているのではないでしょうか。


それから、いろんな電車やバスに乗ったのですが、中国などでは電車などに乗るときに整列しないという記事を読みましたが、台湾はどこでも整列して乗っていました。優先席はなるべく空けておくようでした。


台湾と日本の間には国交がありません。正式には台湾という国は認められてなくて中国の一部という考え方なのです。それでもアメリカを経由して台湾には日本車が大量に入ってきているそうです。日用品も日本のものが多かったです。それらを見ているとなんとも言いがたい複雑な気持ちになりました。
私にとって台湾人のメンタリティを多少でも知れたこと、そしてこの「複雑な気持ち」を味わったことが、台湾に行けてよかったことだと思っています。