滝本晃司ソロ「路地裏の秋と暗室〜音だけの滝本晃司」

昨夜の「路地裏の秋と暗室〜音だけの滝本晃司」とても良かったです。1部は4つほどのキャンドルのみ。2部からは完全暗転。どこをどう見回しても、手で目を塞いでも、目を見開いても、どこもおんなじ闇の中です。最初、滝本さんが回すときゅるきゅるきゅるきゅる、と細い音のするものを鳴らしました。「このままこれを30分ずっと回していようかな」と笑いながら言う滝本さんの声。そんな冗談を『それもいいかもな』と思えるほど、その細い音の微妙な揺らぎがいつまでも聴いていたいほどでした。そして口琴。暗闇の中、音がとても近く感じられます。
そしてギターの音。歌も始まりました。
1部のほの暗い中での演奏より、歌声もギターの音も明瞭で、メロディの輪郭もはっきり聴こえてきます。
演奏する滝本さんはどうだったのかな。
歌っても話しても、向こうは真っ暗闇。
大きなクジラの口の中に向かって歌っているみたいかな?とか、そんなことを想像していました。
聴いてる方はどうだったかな。
闇の中は広いでしょうか、狭いでしょうか。
私には、闇は遠くのささやかな服のこすれあう音さえ近く聴こえて、とても密な感じがしました。