John Zorn's Cobra名古屋作戦今池部隊!

John Zorn's Cobra
ジョン・ゾーンが考案(作曲)した、ゲームスタイルを取り入れた即興演奏のスタイル。
演奏者がプロンプターと呼ばれる指揮者の指示によって即興演奏を行う。約10名のプレイヤーがプロンプターを中心に半円形に並び、プロンプターの指示する19枚のカードとそれに対応したサインによって音楽が作られていく。
また「ゲリラ」という存在があり、プロンプターにゲリラになることを申告し、承認されればゲリラとして、プロンプターの代わりになったり、プロンプターの意思に逆らう演奏が出来る。

と、まあ、そんな感じのことを読んだり聞いたりしてたのですが。

まず、当初の疑問。

んーー、普通に指揮者が指示を出す大人数の即興演奏とCOBRAと、どこがどう違うの?
指揮者はソロを取る人を決めたり、その演奏に指示を出したりしていくわけで、COBRAはそういうものと違うの?

答え。

違うんでしたーーー。


今日は仕事をお昼過ぎで終わり、急いで大掃除をしてTOKUZOにむかいました、このライブのために。
なんだか休む間もない忙しい一日で、正直これでライブ行ったら、途中で眠くなってしまうかもと大変心配だったのですが。

まーったく眠くならないでしたーー。

なんつーの、どんな演奏でも、まず演奏者のプレイを聴く、聴かせる、という構造があるじゃない。ソロを取る人間が立ち上がって、たっぷり演奏を聴かせる、というような。クラシックでもジャズでも即興でも。
しかし、今日のCOBRAが大きくそれと異なるのは、それぞれのプレイを順番に聞かせるというよりは、ゲーム形式を取りながら、そうまるで自分のカードをどんどんと切っていくように、それぞれの素材のエントリーをしているようだし、そしてその素材を楽曲の中にメモリーさせたり、取り出したり。
聴いてて、幾つかのチャンネルをザッピングしているようだったりもする。
こういう形の即興は、COBRAという形式ならではだ、きっと。
聴いてて、飽きてくかなあと思ったけど、飽きんのだわ、これが。
それは、COBRAが、観客にとって録音された音源ではなくライブで成立するものであり、耳だけでなく視覚的にも面白いからなんだろう。
プロンプター巻上さんが出すカードやら指示の意味が少しでも知りたいと思って前のほうに行ったけど、カードの意味なんてまあ殆どわからない。けど、それぞれのサインを使ったやりとり、その時のプレイヤーたちの表情、動き、それらがむちゃ楽しいのね。
ああ、なんかこう書いてると、悠長にサインを出しては演奏をしてるみたいだけども、そうではなく、すごい速さで音楽が展開されている中で、幾人かのプレイヤーが
「僕と○○さんでこういう音楽をやりたい」
「よし、では◇◇さんと○○さんで」
「次は私と▲▲さんが」
「いや、却下」みたいなことを同時にサインで、プロンプターとプレイヤー全員でしているんだ。

「ゲリラ」の発動の仕方も面白くて、当初はてっきりゲリラはプロンプターの指示する演奏の上を縦横無尽に走ることの出来るソロイスト、だと思ってたけど、そうではない。
ドラマー植村昌弘さんの「ゲリラ」で納得した。つまりは、プロンプターに取って代われる存在で、プロンプターに代わって曲やメンバーを構成できるのだ。ものすごく細かくゲリラになったりゲリラとして自殺したり、またゲリラ化しながら音を動かしていく植村さんを見て、「ゲリラ」という存在の醍醐味を知る。

でも、だめだなあ、こんなふうに書いてても。
これはただの私の覚書ということで。
とにかく想像とは随分違ってて、そしてむっちゃ面白かった。
名古屋メンバーは、多分、他と比べてまだまだ青いかもしれないけれども、その青さが勢いとなって、きっとここでしかない面白さはちゃんと出てたんじゃないかな。
また今池部隊、是非やってほしい。そしたら是非見に行きたい。

東京でたまに行われるCOBRA、それを聴くことが出来る人に対して、嫉妬するなあ。


そうそう、COBRAって、そのゲームのすべての規則や意味を外に向けてほとんど明らかにしてないから、プロンプターとプレイヤー同士が面白がってて、客はおいてけぼりにされるのではないかと思ってたのですが、これまた違ってた。
そのゲーム言語はわからないけれども、全曲と押してそ臨場感が伝わってきて、プレイヤーの中に途切れることなくずっとある集中力も伝わってきて、ぞくぞくするんだ。
なんつーの、ステージ上のことがひとごとではなく、楽しめたんだー。