山内桂さんのライブ

昨日のお休みの夜は、久々になんやのライブに。
くろひょうさんという方の音響系ギターインプロ、大橋さんという方の非常に繊細なギターソロ。
その後、小埜涼子さん、TAKEDA、なんやの店主puyoさんと山内桂さんによるサックスソロ&アンサンブル。
ちなみに、山内さんという人は大分でずっと仕事をしながら演奏をなさってたそうです。大友良英さんがどういう経緯か知らないのですが山内さんを知ったそうで、たびたび紹介されてたり、または共演されてたり。2005年の大友さんのブログではこのような表記も。
「敬愛する、今や日本を代表するといっても過言ではないサックスインプロヴァイザー兼、釣りと旅が好きなただのおっさんでもある一見普通のど変人(山内さん、ごめんなさ〜い、でもそうとしか思えないっす)の山内桂さん」
だそうです。
私はCDは聴いてましたがライブは初めてで、期待してました。

さて、まず小埜涼子さん、TAKEDA、puyoさんの順でサックスソロを2巡。以前に松本健一さんの提案でやったという、「ソロを吹く前にホラを吹く」をやりました。全員、演奏よりもホラのためにやけに緊張して落ち着きがないです。
才女、小埜涼子さんが、さすがのホラです。
野菜が高いのでもやしを買いに行き、袋を開けたら、もやしのひげとひげが結ばれてて、取り出したらそれがすべて結ばれてて、もやしが1本の輪になってたんですよ、という話。
散歩して公園に行ったら、そこに井戸があり、なんとそこから七色の光ならぬ七色のトコロテンがぶわっと出てて、大きく放物線を描いて飛び出してくるので、急いで家に帰って黒蜜を入れた器を取り、トコロテン落下地点まで走ったが、すでにそこには何人かの人が同じように器を持ってトコロテンの落下を待っていました、という話。
特にトコロテンの話が、話の点がいくつか作り、その点を越えていくごとに視野が広がっていくところが、さすがに短歌をやってる人だなあと思いました。彼女のそういう発想の方法が、音楽の表現にもすごく出ているような気がして、何故か納得のホラ&ソロ。
TAKEDAのソロは、なんやで聴くTAKEDAのサックスは初めてだったんですけど、いつもと響きが違って聞こえたなあ。それとも何か変化したのかな。
小埜さは丁寧でテクニカルで、そして私はいつも彼女の演奏にすごく「意図」とか「意思」を感じます。
TAKEDAはいつからこんなに武骨になったかなあ。太い演奏ではないのですけど、以前よりもやわらかさや丁寧さが少なくなって、どこかごっつり(がっつりじゃないよ)とした感じがしてきたんですけど、どうなんでしょうか。
puyoさんのサックスは歌心あり笑いあり。ホラではブーブークッションの話をして、それは大して面白くもないかなあという感じだったのですが、ソロでサックスの音で「ブーブークッション」と吹き、ちゃんとホラとソロが連動してそれがなんともおかしくてとても良かったです。
そして、山内さんの提唱するSALMO SAXのアンサンブル。
山内さんは、サックスのアンサンブルでの即興で、誰にでもすぐにできる簡単な形で、けれど面白いものを目指しているそうです。そういうワークショップも多数行っています。で、今回はその中でもとても簡単なものだったそうです。
4人がわりと微音系で、音はCのロングトーンのみ。少なくとも2人以上は常に音が重なっている状態にすること。その音がぼわーんとやわらかく室内を包み込むようなイメージであること、だそうです。ただ延々と4人がCのロングトーンを出しているだけなのですが、なんだか不思議な心地よさで、しかも、山内さんに加えて、小埜さん、TAKEDA、puyoさんという人たちがこういう演奏をすることが意外と面白かった。その後、山内さんによる微音系ソロでした。