Food+ニルス・ペッテル・モルヴァル+巻上公一


この動画をご覧ください。
これはノルウェーのユニット「Food」にゲストとしてChristian Fenneszというギタリストが参加している映像です。

得三にてノルウェーの「FOOD」のライブに行ってきました。 イアン・バラミー(sax)トーマス・ストレーネン(ds.elc)、ゲストにECMで今もっとも人気のニルス・ペッテル・モルヴァル(tp)とヒカシュー巻上公一さん。
実は私は巻上さんが出てらっしゃるのでそれならば行けたら行こうと思っていたのですが、しばらく前にYoutubeでこの演奏を聴いた途端、これはもう俄然行かねば!に変わってしまったのです。

普段、得三ではなるべく両側のスピーカーの真ん中近くになるようにシモテ側のテーブルに席を取るのですが、今日はドラムとエレクトロニクスのストレーネンさんの演奏を間近に拝見したかったのでカミテのテーブルに。

最初の方は透明感ある静かな演奏でした。イアン・バラミーさん、トーマス・ストレーネンさん、ニルス・ペッテル・モルヴァルさん3人による即興。3人ともそれぞれの楽器にマックやエレクトロニクスを繋ぎ、楽器からの音をどんどんと変化させたりまたは別の音源の音を足していきながら、それぞれが緻密に音を構成していきます。
途中から巻上さんがテルミンとヴォイスで入り、この独得なクールで幽玄な世界観にユーモラスな一面も付け加えていきました。
それにしてもエレクトロニクスに全く詳しくない私は、一体この音はどうなってるのかと驚嘆の連続でもありました。ドラムの上に載せた幾つかの小さなベルを1回スティックで叩くだけでその音が「キンコンカンコン・・」と変化していくのは、それを叩くことに同機させてるのか、その音はどうやって拾ってるの、どうしてベルごとに音が変わるの、私にはさっぱりわかんないとことが目の前で起こってる、しかもその音も音楽もとても面白く、驚きと喜びの連続のようなライブでした。
そして後半のまさかの盛り上がり。ストレーネンさんのリズムの変化の仕方はちょっと他のミュージシャンでは聴いたことのないものでした。クールですごいセンスの良さ。いつしか気持ちがうわああってなる。立ち上がって踊りだしたくなるような高揚感。
まったくもって伝わらない文章を書いてることがバカみたいだがとにかく良かった、もっといっぱいの人、それも若い人たちに聞いて欲しかったと思ってしまうので、とりあえずこうして書いています。

どうしてノルウェーの音楽がこんなに面白いのだろう、という話をライブに行く前の車の中で武田とずっと話してました。北欧という環境が与える影響か、それなら北欧の他の国々はどうなのだろう、ノルウェー発の音楽だけが紹介されてて他の国は他国に紹介されていないだけなのか、どうなのか。
帰りに巻上さんとお話することが出来たのでこの辺りのことを少し伺ったのですが、ノルウェーでは文化はとてもリスペクトされているとのことでした。音楽に国がちゃんとお金を出してくれる。それでこうして他国にライブに行くことも出来るそうなのです。

それにしても、その土地から生まれてしまう何かってなんだろうなあ。なんだかわからないけど、なにかあるのだよなあ。
その前日に香港映画「捜査官X」を観ました。香港映画におけるアクションのリズムってのは、その国の持つ哲学だよなあと思うのです。日本のアクションの間合いや対峙の仕方はすなわち日本の哲学であるのと同様に。
ノルウェー発の音楽で感じる響きや温度には、そこにきっとノルウェーの哲学が息づいているのでしょうか。これからももっと聴いていきたいと思います。