「あんにょん由美香」おすすめです!

林由美香」さんは、この「あんにょん由美香」を観る前の予習として、スコーレで「ベストフレンド」と「誕生日」という古いピンク映画を観た、と、経験値としてはそんだけで。
だから「あんにょん由美香」を観ながら出てくる人を見て思うのは、
「ほほうー、柳下毅一郎ってのは、こんな顔してんだ、意外」ってことが一つ。
それからテロップでは出てこない、けれどこの映画のプロデューサーである直井さんがちょくちょく画面の中に入ってて、「ああ、この時もここにいたんだ」「北海道にも行ったんだ」と思いながら、何か妙に近しい人を「あ、映ってる映ってる!」みたいな感覚で観ているようなちょっと不思議な感じだった。
で、うちは私もTAKEDAもAV、アダルトビデオを借りたり観たりする習慣がない、し、あんまり観たことがないのだ。
そんだであんまりそのことに気付かなかったんだけども、AVを観る人にとっては「監督」ってのは、よーく知ってる人だったりするんですね。だからこの場合は直井さんに反応してる場合ではなく、AV監督の顔を眺めながら、「あ、この人、普段はこんな顔」とか、思ったりするのかしら。
私は、大好きな映画監督の顔を知らない、なんてことはよくあります。大林監督とか黒沢清監督とかはわかるけど、是枝監督だともう頭に浮かばない。こないだ観た富永監督なんて全然わからない。
でも、AVってのは、作品にもよるのでしょうけど、監督自身が女の子と楽しくお喋りして、そのあと乳触ってみたり、その他いろいろなことをしていくわけで、つまり作品の中に監督が露出してたりする場合もあるんですね。
だから私は「あんにょん由美香」を観ても「カンパニー松尾」とか「平野勝之」とか、全然知らないわけなんですよ。でも観る人によっては、「あの、カンパニー松尾だ!」とか「あの、平野勝之だ!」になるんですよねえ。
や、だからどう、ということではないんですが、なんかそういう違いが、面白いなあ・・・と。

前置き長くてごめんなさい。さっさと言っちゃいましょう。
是非、たくさんの人に観て欲しい映画です!! すごくいい映画です。
AV女優でありピンク映画女優であり、早逝した林由美香を知らなくても。
ピンク映画やAVを知らなくても。

私は、映画の映画が大好きです。映画に関する映画が。
だって、映画作ってる人が映画のことを描くんだもん。
そこには様々な苦悩、苦しみ、憎しみ、葛藤、そういうものがあったとしても、最後に残るものは紛れもない愛情、そんだけではないかしらん?
私は、この映画を観て、林由美香その人のことよりも、彼女の仕事に関わった様々な人たちがどれもこれもステキで、そのことに感動しました。私がこれまで見ることのなかった、AVやピンク映画の現場にいる人、関わってしまった人たちに。
ラストの豊田道倫の歌う「さよならと言えなかった」って曲、サビんとこだけがいつまでもいつまでも頭の中でリフレインしている。そして、本当に愛情の結晶のような最後の最後のシーン。それを思い出すだけで、私は何度でも目頭が熱くなってきます。
あ、あと、ネコ好きにもオススメだにゃあ。

あしたの金曜日までは、シネマスコーレにて、2時40分〜、8時10分〜の2回上映。
19日(土)からが最終上映週です。
6時〜、8時10分〜、の2回上映。

本当にね、これ、いい映画だと思う。是非!
http://www.spopro.net/annyong_yumika/